工房見学番外編!
前回、竹細工職人の関田徹也さんの工房へお邪魔しましたが、今回は工房見学番外編として竹の伐採に同行させてもらいました!
関田さんは竹の細工だけでなく、竹の選定・伐採も自分でされています。
現代の竹林事情
この日は埼玉のとある駅から少し歩いたところの道路沿いにある竹林でした。事前に地主さんに了解を得て伐採します。この地主さんへの交渉も関田さん自身が行います。
竹林の管理まで手が回らず、むしろ伐採を歓迎してくれる地主さんもいるのだそう。
やっと地上に下した竹は、関田さんの身長の8,9倍もありそうな長さでした。これを一日に何度も繰り返します。
よく知らなかった竹の細かな生態を知る
この日は近くのもう一つの現場にも連れて行ってもらいました。なんとものどかな風景です。
一番左の写真は、竹林です。竹の高さが波打っているのがわかりますね。関田さんによると、林の外側は風が強く当たるので踏ん張るために長く成長し、内側は風の影響が少ないのであまり長くならないんだそう。
関田さんが竹細工に相応しいと選ぶ竹には『節があまり高くない』という条件があります。竹の節を意識したことがなかったのですが、よく見ると確かにフラットなもの、出っ張っているもの、様々です。一番右の写真は左右で節の高さが違う竹です。
他にも、タケノコの皮を残した竹はその年に生えた若い竹。腰蓑のように節から出ているのは根っこだそう。竹にこんなに違いがあるとは思っていませんでした!
竹は切ったら終わりではなく、細工で使わない先の方は切り落とし、だれか触ったときに危なくないように枝を切り落とします。
切り方にもこだわりがあります。のこぎりでフラットに切り落とすこともできますが、そうすると残った竹のコップ状になった部分に雨水がたまり、蚊の幼虫であるボウフラが発生してしまうんだとか。竹藪に蚊が多いのが納得できますね!
関田さんは鉈のような専用の刃物で竹の四方を打っていきます。そうすることで残った竹が割れて、早く腐り、新しい竹が生えてくるのだそう。
必要な竹を伐採するだけではなく、竹林や竹林に関わる人のことも考えているのが伝わります。
グルメが好む竹?
竹の中にはこのように、あめ色になっているものもありました。
動物園などに採った竹を納めている関田さんのお知り合いによると、レッサーパンダなどは若い竹は食べず、数年たったあめ色の竹しか食べないんだそう。味が変わるのでしょうか。。
竹の深くて広い世界を知った一日でした。
関田 徹也 Tetsuya Sekita
竹細工職人
1983年生まれ。東京で育つ。小学生のころから手仕事に興味を持ち、13才から竹籠を作り始める。正式な弟子入りはせず、東京、埼玉、茨城等の竹籠職人を訪ね技術を習得。2014年から本格的に活動を開始。
籠の製作と同時に現在も各地の職人を訪ね多様な技術の記録と習得そして活用の道を探っている。