いざ工房見学へ!
2018年、つなぐデザインマネジメントでは、手漉き和紙職人の北村春香さん・竹細工職人の関田徹也さんのお二人と共に、照明器具デザイン・制作のプロジェクトをスタートしました。
これを機に、お二人のお仕事をくわしく知りたい!と、お願いして工房見学をさせていただきました。
今回は、前回の北村春香さんが利用されている手漉き和紙工房の見学に引き続き、竹細工職人の関田徹也さんの工房へ見学にお邪魔しました。
竹の選定・伐採もご自身でされます
関田さんは毎年、年末になると翌年使う分の竹の選定・伐採を行います。東京や埼玉あたりの竹林をめぐり、地主さんに伐採の交渉をすることもあるそうです。竹林の管理まで手が回らず、むしろ伐採を歓迎してくれる地主さんもいるんだとか。
今回は、昨年末に伐採した竹の汚れを丁寧に拭くところから、竹を細く割っていき、竹かごの編む作業までを見学させていただきました。
竹細工の工程を見学
- まずは竹一本一本、丁寧に汚れをふき取っていきます。
- 竹に刃を入れ、繊維に沿って割いていきます。丸々一本の竹を割こうとすると抵抗が強いので、細い竹の棒をかませて割きます。
- 割いたものをまた半分、それをまた半分…と繰り返していくことで、かごに相応しい繊細な細さの竹材になっていきます。
- 足も大事な道具の一つです!
カゴと一言でいっても、その編み方によって必要な竹材の幅や長さが違ってきます。●●用の竹材、□□用の竹材、▲▲用の竹材、と長さや幅、薄さも微調整して竹材をつくっていきます。
竹の節と節の間の長さや、竹のねじれ具合、柔らかさ、硬さ…作るものによって見極めるポイントは多岐に渡ります。この作業だけで終わる日もあるんだとか。
年末に伐採した竹は夏の保管中に暑さが続くと、竹の水分によって中が腐ったり、外側の色が変色してしまって使い物にならなくなってしまうのだと関田さんは話してくれました。
他にも、カゴの縁はきついカーブを描くので、水分が多く含まれている柔らかい竹じゃないと向かないそう。常に天候と竹の状態を読みながら作業に優先順位をつけていきます。
そういえば、手漉き和紙職人の北村さんも、『晴れが続くときに一気に漉いて乾かさないと!』とおっしゃっていました。お二人とも天候に左右される大変なお仕事です。。当たり前のように使用していましたが、職人さんのすごさを体感した工房見学でした。
次回は、2019年に使用する竹の伐採に同行させていただいたお話をお送りします!
プロフィール
北村 春香 Haruka Kitamura
手漉き和紙職人
10代から紙すきを志し、石川県輪島市能登仁行和紙、奈良県吉野町福西和紙本舗、田村正氏に師事。2006年~2015年まで東京都無形文化財軍道紙を継承。2016年東京手すき和紙工房として独立し、あきる野市、檜原村、八王子市、小平市などで活動中。一般社団法人東京和紙「東京産の原料、東京の水、東京の職人でつくる東京和紙」の立ち上げに参加。
関田 徹也 Tetsuya Sekita
竹細工職人
1983年生まれ。東京で育つ。小学生のころから手仕事に興味を持ち、13才から竹籠を作り始める。正式な弟子入りはせず、東京、埼玉、茨城等の竹籠職人を訪ね技術を習得。2014年から本格的に活動を開始。
籠の製作と同時に現在も各地の職人を訪ね多様な技術の記録と習得そして活用の道を探っている。