色々なお仕事を経て訪れた運命の出会い
現代の炭焼き職人、佐藤光夫さんにお話を伺うシリーズ①では、炭の作り方を教えていただきました。
今回の②では、勤め人をされていた佐藤さんが炭焼き職人になった経緯と、炭焼きについての思いを語っていただきます。
--炭焼きをはじめられたきっかけや、興味を持ったポイントを教えてください。
佐藤さん:中学生の頃から、「なぜ人は平和に暮らせないのか」と疑問があり、高校大学時代に、一つは自然の流れに即した暮らしをすることが重要だと考えました。
教員、有機農産物の八百屋、出版社をへて、東北で、山の仕事をしながら暮らす場所探しをしていた折、炭焼名人との出会いがあり、師匠と出会いました。初めて会って目を見た瞬間、「この人だ」という思いが湧き上がり、ここで暮らすことを決めました。
炭焼きをするのには樹木を伐採しますが、主な原木である広葉樹は植林せずとも、切り株や根周りから、次の芽が生え、森は自然に再生します。(これを萌芽更新と言います)20〜30年もすれば、また炭に焼けるぐらいの太さにまで成長し、伐採の適正規模にさえ注意すれば、永続可能な営みです。まずは、そこがとても大事なことだと感じ入りました。
色々調べてみると、現代の多くの公害や健康被害などの原因は、化石燃料の過剰なスピードの消費。分別のない使い方にあり、その化石燃料といえば、これは大昔の植物の命です。
この大昔の植物の命が姿を変えたものを、人類が分別ない使い方をすることによって自ら招いてしまっている困難が、同じく植物が姿を変えた炭によって、浄化されたり、解決の一助になっていることに、深く感じ入りました。
それで、パンフにあるような文書を書きました。この想いは今も変わってはいません。
--佐藤さんが初期に作成されたパンフレットにその思いが記載されています。(クリックで画像が大きくなります)
--実際にはじめられて、最初に抱いたイメージとの差などはありましたか?
佐藤さん:この運びに、ありがたいばっかりで、感謝しかありませんでした。森林や樹木のことを、もっともっと学ぶ必要を感じました。
--炭焼きをされる上でのやりがいや、大変なことがあれば教えてください。
佐藤さん:自然の流れに沿った営みなので、そこがやりがいです。全てが重量物なので、ある程度力が必要です。体を壊さないように、体全体を使うように心がけています。
【炭・連載③】につづきます
【炭・連載①】現代の炭焼き職人と奥深い国産炭の作り方 はこちら