現代の炭焼き職人、佐藤光夫さんにお話を伺うシリーズ①では炭の作り方を、シリーズ②では炭焼き職人になった経緯と、炭焼きについての思いを、シリーズ③では炭焼き職人として大切にされていることをお伺いしました。
今回の④では、炭を使った製品についてと生まれた経緯についてお伺いしました。
製品としての炭の可能性
–炭を使用した製品も作っていらっしゃいますね。どのような経緯でつくられたのでしょうか?
佐藤さん:炭を燃料として使うことがなかなか遠下がっている現代なので、そのとっかかりになればという気持ちで、「炊飯・飲料水用白炭」「風呂用白炭」「朴の炭」などの燃料以外の用途の商品を最初作り始めましたが、燃料以外の炭の様々な働き・魅力も、とても大事だなあと感じています。
炭のパウダーなどを使ったクッキーやケーキなどのお菓子は、東日本大震災の福島第一原子力発電所の爆発がきっかけでした。当初はデトックスの効果を願って、炭のパウダーを家族で食べ始めました。周りにも勧めているうちに、それをやがて商品化する運びになり、菓子部門が始まりました。
–特に反響のある製品はなんですか?
佐藤さん:かかとのアカスリ用に、朴の木を原木にして焼いた炭をパッケージした「朴の炭」です。パッケージのキャッチにもありますが「かかとのカサカサがツルツルになります。軽石と同じようにして使ってください」です。
炭のパウダー入りのクッキーやケーキ、食べ物は、デトックスだけでなく、美味しいと好評もいただいています。炭自体は味も匂いもしないのですが、特に、チョコとの相性がいいようで、「すみやの炭チョコケーキ」は、牛乳・バター不使用ですが、炭パウダーが入ることで深い味わいになり、ブランデー不使用なのにブランデーを使ったような味わいになっているとの感想をいただくことがありました。
–このお仕事をされていて、よかったなと思う瞬間はどんなときですか?
佐藤さん:使っていただいて「いい炭だね」と言っていただけること。炭出しの作業で、透きとおった輝きの炭をみると、いい仕事させてもらってるなと、いつも思います。
–今後、力を入れていきたいことなどありましたら教えてください。
佐藤さん:炭焼の仕事が核であることに違いはありませんが、菓子部門以外にも、ここでの山暮らしをさらに深めるべく、様々な暮らしのことを都会の方々などに体験していただいたり、一緒に学びあったり、我が家で使っている暮らしの様々な用品を紹介したりする、民泊など、山暮らしのシェアというふうなことで事業を展開したいと考えています。
【炭・連載①】現代の炭焼き職人と奥深い国産炭の作り方 はこちら
【炭・連載②】大自然の営みの一部になる炭焼き職人の生き方 はこちら
【炭・連載③】現代を生きる炭焼き職人の仕事の流儀 はこちら
すみやのくらし@七ヶ宿の白炭
佐藤光夫さん、円さんご夫婦
光夫さん:名古屋市生まれ。教員、無農薬野菜の引き売り八百屋、自給百姓の模索、自然の営みにそった人間社会を願って活動する出版社・野草社を経て、炭焼名人・佐藤石太郎氏との出会いから、1994年春より七ケ宿での山暮らしを始める。現在は炭焼専業(屋号/七ヶ宿の白炭+お菓子づくりの手伝い。2003年、「水づくりは森づくり」を合言葉に、森に炭をまく活動をする「水守人の会」を発足。地元杉材などを伐採して、半セルフビルドの自宅建設。2006年冬ほぼ完成し入居。公益社団法人国土緑化推進機構「森の名手名人」に2009年度選定。
円さん:岩手県北上市生まれ。その後おもに仙台で暮らす。1991年、自然の営みにそった人間社会を願って活動する出版社・野草社に勤務、光夫と知り合う。1994年秋に結婚、七ケ宿での山暮らしが始まり、1998年長女出産。2004年、自然なお産を希望し長男を自宅で出産。光夫と共に、子育て、炭の商品化、営業、水守人の会の活動に奮闘。菓子業「すみやのくらし」2013年5月設立。
「炭クッキー」が、七ヶ宿町「地場産品の一品開発プロジェクト事業』の2011年度コンテストで最優秀賞を受賞。
WEBサイト:http://hakutan7.com/
Instagram:https://www.instagram.com/sumiyano.kurasi/